第5章 悪友
***ジョーカー視点***
『お、目が覚めたか、メラン』
あいつは知らないだろう。そう言って薄く笑った顔が今でも忘れられない、なんて。
『あァ?俺が勝手につけた。気に入らないなら代替案を寄越せ』
あいつは知らないだろう。その気遣いがどうしようもなく嬉しかった、なんて。
『俺はミヤ。ここは俺の家だ。身体は万全の状態にしたが、経過観察したいから少なくとも2、3日はここにいろ』
あいつは知らないだろう。俺がその言葉にどれだけ驚いたか、なんて。
『メラン、お前口元が読みづらい。俺は耳が聞こえねェんだ。はっきり話せ』
あいつは知らないだろう。そう言われるまで聞こえていないと気づかなかった、なんて。
『データはこんなもんか…。メラン、協力感謝する。これでお前は自由の身だ、好きにするといい。ここに居つくにしても、俺は後、数ヶ月したらここを出るから、そのつもりでな』
あいつは知らないだろう。出ていくと言った時の諦めに染まった顔が嫌いだった、なんて。
『は!?メラン!?その怪我どうした!?』
あいつは知らないだろう。別れた後、お前が生きてたことに、どれだけ安心したか、なんて。
『ん?んだよ、何かあったか?』
あいつは知らないだろう。頭を撫でた時の小動物っぽさが気に入ってる、なんて。
「まさか、女だったとはなぁ…」
さて、どうしてくれようか…。