第5章 悪友
『…遠目に見ただけだから確かめてはないんだけどねぇ。無人なはずのネザーが騒がしかったよ』
「!」
ポツリと呟いた言葉の意味を、ジョーカーなら分かってくれるだろう。
私がもらった情報量と比べると、こんなわずかなもので申し訳ないが、ないよりはマシだ。
ジョーカーは何事か少し考えた後、ポンポンと私の頭を撫で、立ち上がった。
そのまま玄関に向かうのを見て、私も後を追いかける。
扉を開けたところで、顔がこちらを向いた。
「浅草だって次いつ火の海になるか分からねェんだ。気をつけろよ」
『ジョーカーもね』
なんて別れの言葉を交わすなり、その姿は煙のように消えた。
私はしばらくジョーカーのいた場所を見つめ、最後に言われたことを噛みしめていた。