第57章 月夜の密会再び
***聴視点***
急ぎ戻るというシンラくんたちを見送って、その場はお開きになった。
数日すれば詳しい情報が入ってくるだろう。
まぁ、今現在、最速で教えてくれそうなやつを待っているわけですが。
「ばぁ♡」
『…やっぱり来たか~』
「毎っ度、反応薄いよなぁー、お前」
『悪ぅございましたねぇ~』
もはやお馴染み、ジョーカー氏である。
タイミング的に来るだろうと実家で待っていればビンゴだった。
「よく最強サンが1人になるのを許したな?」
『詰所で寝るのを条件になんとかね~』
「そうまでして俺に会いたかったとは、男冥利につきるねェ」
『よし、帰るわ』
「即答かよ。冗談だっつの」
いつかと同じように、縁側で月明かりを頼りに会話する。
つくづく、こういうシチュエーションが似合う男だ。
「お宅の中隊長殿は生き残れたようだなァ?」
『あんな下っ端にやられるほど、弱くないっての~』
「やっぱこの町の人間は伊達じゃないねェ」
『…第4の大隊長は?よっぽどの相手だったの?』
「だろうな。抵抗した跡がなかったらしい」
白装束が本気を出してきたか。そろそろ何か仕掛けてくるかな。
「で?俺はあれからずぅーっとお預けをくらってるわけなんだが」
浅草にどのくらい影響があるか、と考え込んでいると、ジトっとした目に思考を遮られた。
『連想ゲームの内容を話すの、好きじゃないんだけど~』
「俺はそれに用があるんだよなァ」
ケッ、この物好きめ。
話さないと帰れなさそうだったので、仕方なく“この世界滅ぶんじゃね”説をまるっと話した。
そしたら
「おっまえ、そこまで核心に近そうな思考しといて、よく収穫なし、って言えたな?」
と怒り半分、呆れ半分に言われた。
え、だって、確証はないんだよ?なら、収穫はなし、じゃんね。