第4章 幕間 その1
***紅丸視点***
聴が帰ってきた。
帰ってきたその日のうちに、紺炉の灰病を少なからず治したのには正直驚いたが、こいつならこのくらい当然だと、どこか納得している俺もいる。
詰所の連中は、昔のように「ゆーちゃん」と呼ぶやつもいれば、俺や紺炉と親し気なのを見てか、はたまた聴に助けられたやつもいるからか、「姉さん」やら「先生」やらと呼びやがる。
最後のやつがどうにもしっくりこねェが、当の本人が何も言わないので好きにさせている。
『あ、紅~、じゃなかった、若~』
「あァ?てめェ、喧嘩売ってんのか。気持ち悪ィからやめろ。そもそもてめェから若呼びされる筋合いはねェ」
『だよねぇ』
言ってみたかっただけ、とケラケラ笑う聴は、わずか2日で詰所に馴染んだ。
いや、どちらかと言えば、詰所の連中がこいつに慣れたというべきか。
聴は面と向かって話す分には、普通の人間と変わらねェ。
そのせいか耳が聞こえない、ということを忘れるやつが多く、呼びかけては聴が反応しないのを見て、「あ、そういえばそうだった」という調子だった。
なにより
「「おい!聴!」」
『…ん?お、ヒカヒナ~。今日も元気だねぇ』
これだ。
聴は人の気配に敏感で、自分に意識を向けてきている人間には、割と気付く。
この双子も、初めは元々の人見知りも相まって、どう接すれば良いのか迷ってやがった。
…が、思ったよりも気さくにいっていいと分かってからは、早かった。
「「今日もヒカとヒナと遊べー!!」」
『いいとも~』
ったく、のんきなもんだ。