第51章 次の段階へ
「今ならお前にもできるかもしれねェな」
「?」
「“火事場の馬鹿力”を使うんだよ」
「馬鹿力って…」
初めて聞いた、という顔をするシンラに、聴が口を開きかけたが、第5のに目をやるなり口を閉じる。
「人間の脳には己の能力の30%しか発揮できないようリミッターがかけられている。だが危機に瀕したときリミッターを超え自身の潜在能力をすべて発揮することができる。これを火事場の馬鹿力と呼ぶんだ」
…こいつの前で目立つことはしねェ、ってところか。
「それができれば…。ど…どうやったらできますか!?」
安直に俺に聞いてくるシンラに少しの面倒くささが湧いた。
「知るか。てめェで考えろ」
思わずそう言っちまったが
「若ァ…、自分でふっといてそりゃねェでしょ」
と紺炉から文句が飛んでくる。
『下手すりゃシンラくん、手探りでやって死ぬんじゃない?』
聴からは物騒な言葉が飛んできた。
クソ、分が悪ィ。
「…。お前ェとこの若い衆を呼んでこい…。1人1人教えるのはめんどくせェ」
「よかったな!!また若が直々に見てくれるってよ!!」
おい、紺炉、なんでそんなに嬉しそうなんだよ。
「ありがとうございます!!絶対に強くなります!!」
ったく、仕方ねェなァ…。