第49章 刺客と書いてストーカーと読む
***聴視点***
さて、腹を割って話したあの日から、しばらく。
私はやや面倒な問題を抱えていた。
どうにも、ここ数日ストーキングされているのだ。
わりとプロのやつに。
そろそろ解決に向けて動くか、と思ったタイミングで、1人ひっそりと詰所を出ていこうとしている紺兄を見つけた。
『紺兄、どこ行くの~?』
「!」
ぬっと後ろから顔を出して尋ねたら、げっ、という顔をされた。ひどい。
「あー…、いや、ちょっと散歩にだな…」
『またまた~。釣りに行くんじゃないの~?』
もちろん釣るのは魚じゃないけども。
「!聴、お前ェ…」
『私も釣りしたいんだ~。途中まででいいから一緒に行こうよ~』
「…。若には?」
『言ってないよ~。そんなに大物じゃないだろうしさ~』
「…気ィ抜くなよ」
『は~い』
そんなこんなで紺兄と他愛のない会話をしながら、人気のない河原に移動した。
そろそろ分かれるかな、と思っていると、私たちを前後から挟むように2人現れる。
私は自然な動作で、全員が視界に入るように身体を動かした。
白装束かぁ…。口元が見えないから、なに言ってるのかさっぱりなんだよなぁ…。
「ここ2・3日こそこそと付け狙ってやがったな?」
紺兄のセリフに、ちょっと驚いたフリをしてみる。
そう、私は何も知らないか弱い乙女です。
「やるならさっさと来たらどうだい?」
紺兄の言葉で2人同時に襲い掛かってきた。