第48章 本当のただいま
***聴視点***
『とまぁ、こんな感じかな』
2人とも、結局1度も口を挟んでこなかった。
紅からは怒りのオーラが立ち昇ってるし、紺兄からは泣きそうな雰囲気が伝わってくるしで、思ってることは大体分かるんだけども。
『改めて聞くけどさ、私はこの町に』
いてもいい?
そう言葉にする前に、2人から抱きしめられた。
苦しいくらい力を込められた後、少し身体が離れる。
2人の腕の中で、私はそろりと視線を上げた。
「聴が気に病むことなんざ、何もねェ。俺の命の恩人を貶す奴がいるってんなら、きっちり落とし前つけさせる」
紺兄、物騒だね。
「なんべんも言わせんじゃねェ。てめェは胸張って、ここにいりゃいんだよ」
紅が優しい。逆に怖い。
というか、セリフが逆じゃない??え、合ってる??あれ、オーラ読み間違えたかな??
…あぁ、でも、良かった。2人ともホントに変わらないや。
やっと、やっと、帰って来られた気がする。
私は感情の赴くまま2人に抱き着いた。
頑張って良かった。ここにいられる権利をやっとつかめた。
そう思ったら、ほんの少しだけ、目の前の服が濡れてしまった。