第46章 避けては通れない話
***紺炉視点***
ポカンとした聴の顔を見て、紅と視線を交わす。
お互いの瞳に、これは絶対に聞き出さなきゃならねぇ、という強い意志を確認し、聴に視線を戻した。
「お前ェ、浅草出る前は、そんなんじゃなかったろ」
『そんなんって~…?』
聴は紅の問いに首をかしげるばかり。
完全に無意識か。
「いつからそんなに皇国の人間が嫌いになった?」
直球すぎる紅の言葉に、聴は息をのんで目を見開いた。
その様子に、俺も口を開く。
「たしかに浅草の人間は、多かれ少なかれ、皇国の人間をよく思っちゃいねェ。けど、昔のお前は、皇国の人間は問答無用で嫌い、ほどはなかったはずだ。違うか?」
気まずそうに視線を逸らした聴は、1度大きなため息を吐くと、ゆるゆると視線を合わせてきた。
不安げに揺れる瞳に、何がこいつをこんなに不安にさせているのかと、内心で首をひねる。