第44章 両手に花…?
***聴視点***
ギャアギャアと両隣が騒がしい。
もちろん音は聞こえないので、比喩表現である。
傍から見たら、両手に花に見えるんだろうか?
気分的には、大型犬2匹に引っ張られている飼い主の図、なんだけど。
…ちなみに比喩を取っ払った、只今の私の状況は。
右側に陣取った紅から、腰を引き寄せられ、
左側に陣取ったジョーカーから肩を組まれ、体重をかけられている、
というものだ。
いや、どうしてこうなった。
「てめェ、いい加減、その腕を離しやがれ」
「ケチケチすんなよー、最強サン。ちょっとくらい、いいじゃねェか」
…まぁ、この会話からも分かるように、左側の男が原因である。
さっさと帰りたい紅と、恐らくだが、私から情報を吐かせたいジョーカー。
私はもちろん紅に加担した。そしたら
「そういうことなら、俺も浅草にお邪魔するぜ?」
とジョーカーが切り返してきた。これに黙っている紅ではない。
結果、物理的にもカオスな状況と相成った。