第43章 第1の大隊長、ねぇ…
***聴視点***
「おう、遅かったじゃねェの」
『俺は端から、物見遊山で来てるんでな』
「…噂をすれば、か」
第1の大隊長から注がれる視線はスルーして、紅の横に並んだ。
「なるほど、君だけは素性が知れないな。私のことは知っているようだが、どこかで会ったことが?」
『おいおい、自分が有名人だって自覚あるか?レオナルド・バーンズさん?』
「有名税とは厄介なものだ。君が何者か分からなければ、庇えるものも庇えないのだがね」
『生憎と、アンタに庇ってもらうような立場はもってねェ。が、自己紹介くらいはしとくか。俺はミヤ。面白そうだったんでな、野次馬させてもらった』
「野次馬か。もし次の機会があれば、是非とも、全力で止める側に回ってくれ」
『ははっ!この暴れ馬2頭の手綱を、同時に握れってか?自殺行為だな』
これに対するバーンズさんの返事は、見事なため息だった。
うん、あなたも苦労人っぽいもんね、分かってくれるよね。
「そんな連中に付いてきた君が、別行動した先で何もしていないとは、到底思えないのだが…」
『悪いが、アンタに説明してやる必要性を感じない。どうせ、部下から被害報告が上がってくるんだ。それを待てばいいだろ』
「なるほど。君は相当、口が堅いようだ。52が同行を許可したのも頷ける」
え、今の流れで、そういう話になるの?
というか、どちらかというと連れて来られたんですけどね…。
まぁ、訂正するのも面倒なので、肩をすくめるだけにとどめておきますが。
「仕方がない、君のことは頭の隅に置いておくとしよう。…それで、52、これからどうする?失った片目のように、真実は闇の中だ」
「片目があれば、真実だって見えんだろ。いくぞ、最強、ミヤ」
話は終わったと、バーンズさんに背を向けて、ジョーカーが歩き出す。
私と紅の間を抜け、ジョーカーの口元が見えなくなった。
「次に探る先は決まってるようだな」
バーンズさんの言葉に、ジョーカーのやつ何かしゃべったな、と内心で舌打ちする。
平静を装って、紅とバーンズさんの口元を読み、次の狙いは灰島ですか、と脳内にメモした。