第40章 ハロー☆教皇サマ☆
「それで、襲撃者のあなたが、私に何を尋ねたいと?」
『話が早くて助かる。…あんたらにとって、太陽神は絶対の存在。その御心のままに動く。間違いねェな?』
「えぇ、私たちは常に、太陽神様と共にあるのですから」
『なら、その太陽神サマが、自分のために死ねと言ったら、どうする?』
「なにを馬鹿なことを。我らの神が、そのようなことを仰るはずがありません」
それは、あんたらの妄執に過ぎない。
誰も太陽神とやらに会ったことがないんだから。
この世で絶対なのは、“死”のみ。それ以外は、すべて、可能性として存在する。
それが私の持論だ。
『仮定の話だ。イカレた人間の、イカレた想像に付き合ってくれ。太陽神が、人類みなに、炎に還れと願ったら?あんたらは、どうする?』
「そんなことは、絶対にあり得ません。…ですが、せっかくの機会です。あなたの妄想に花を添えてさしあげましょう。その妄想の中で、私たちが動くとすれば」
『すれば?』
「…すべては神の御心のままに。神がそう願うのならば、私たちは、その願いが果たされるよう、動くまでです」
…ははは。予想通りすぎて、いっそつまらない。
つくづく、紅をこっちに来させなくて、正解だった。
『…そうか。願わくは、それ以外の答えが欲しかったが…。仕方ない』
タイムリミットだ。
地面から、扉を開閉する際の、わずかな振動が伝わってくる。
外のカッパが目を覚まし、教皇の安否確認のために扉を開けた、ってところかな。
逃げ道が確保できたので、全員の視界を潰せるように、消火グレネードをばら撒く。
え?そんなもの持ってたのかって?いやー、ここに来る途中で見つけまして。拝借しました。
んじゃ、あばよー、狂信者ども。やっぱり、あんたらとは分かり合えそうにない。