第38章 別行動しましょ
***聴視点***
「貴様!こんなことをしてどうなるか分かっているのか!?」
「イカレた破壊神が!」
紅とジョーカーが前を歩いているため、私には聖陽教徒の言っていることしか分からない。
ただ、紅の指パッチンで舞い上がった炎と。
それに巻き込まれ、そこそこの高さから落下してくる人たちと。
ノリノリで歩いていくジョーカーを見て。
楽しんでるな、コレは、と思った。
2人が息ピッタリで扉を蹴り開ける。
チラリと来た道を振り返ると、死屍累々で、乾いた笑いが漏れた。
視線を前に戻し、建物の中に足を進める。
そこは明かりもなく、床には紙が散らばっていて、人っ子一人いなかった。
「もぬけの殻だぞ?」
怪訝そうに言った紅を見て、視界を切り替えて進路を探る。
結果、選択肢は2つあった。
前を行くジョーカーを見るに、本来の目的はネザーかな。
「ネザー?ネザーは聖陽教じゃ禁忌のはずだろ?」
紅がジョーカーに聞き返したのを見て、予想が当たったことを知る。
何か言ったのだろうジョーカーは、教壇を蹴り飛ばし、下へと伸びる階段を示した。
「この下だ」
迷いなく階段を下りていくジョーカーを見て、さてどうしようかな、と思案する。
紅もその足を止めていた。