第37章 慌てる?私が?ナイナイ
***聴視点***
「おい。最強サン」
ジョーカーが呼びかけても、反応のない紅を見て、私も歩みを進める。
扉から出てきた巨漢が何か言っているが、無視だ、ムシ。
ジョーカーもチラリと目をやっただけで、放置することに決めたようだ。
「ダッサ」
『敵を舐めすぎだ…』
私とジョーカーから見下ろされ、散々言われても、ピクリともしない紅。
まぁ、身体の中を見るに、もう少しかかるだろうからね…。
「おい、最強サンよ。簡単にやられすぎだろ。ったく、何のために連れてきたと思ってんだ。ミヤはあくまで保険のつもりだったってのに」
『その口ぶりだと、やっぱり本命は別か』
「まぁな。ってか、ミヤ。アンタ随分、余裕だな。てっきり慌てふためくかと」
ジョーカーが言葉を途中で切り、巨漢に目を向けた。
なに?何か気になることでも言ってた?
「お前、何をした?」
「答える馬鹿がどこにいる?」
ジョーカーの質問に対する巨漢の返しに、そろそろかな、とニヤリと笑う。