第36章 ダイナミックお邪魔します
***聴視点***
紅の纏が皇王庁を揺らす。
私はフードを深く被って、わらわらと出てくる聖陽教徒を眺めていた。
どいつもこいつも、おかっぱ頭で頭頂部を丸く剃り込んでいる。
…よし、連中のことはカッパと呼ぼう、そうしよう。
「あの男を止めろー!!」
ターゲットは主に紅っぽいので、脇に逸れて見物を決め込む。
3人が軽く吹っ飛ぶのを見て、ジョーカーの本命はこいつらじゃないな、と思った。
当のジョーカーも4…、あ、5人瞬殺してるし。
「ミヤ、助けは…」
『あ?』
片手間に沈めた2人をその辺に転がしていたら、ジョーカーに呼ばれた気がして振り返った。
「口だけじゃなかったか」
『?…あぁ。俺が本当に戦えるか、疑ってたのか?』
「見たことなかったからな」
楽しそうに笑ったジョーカーが紅のほうを向いたので、つられて私もそっちを見る。
ドーム状に舞い上がった炎が、いとも容易く人を吹き飛ばした。
「なぜ、ベニマル シンモンが!?」
「俺はベニマル シンモンじゃねェ。新門 紅丸だ」
ここに来て第一声がそれって…。まぁ、紅らしいけど。
「アッハッハッハ!本当にやりやがった。○ァック聖陽教!気分がいいぜェ」
「お前がやれって言ったんだろ」
いやいや、紅さん。普通は言われてもやらないよ、うん。
「神の家で使徒を吹っ飛ばすとは、お前の正義ってな、どうなってんの?」
楽しそうな様子を隠そうともせず、ジョーカーが紅に尋ねる。