第2章 「笑顔って怖いよね」/源頼朝
──それから何度も何度もそんなことを繰り返して、
雀色時になってしまっていた。
猫又もすぐには動けなくなるほどに呪力を奪い切ったから、
しばらくは大丈夫だろうと玉藻は言っていた。
暗くなる前に山を降りて村へと向かう途中、
「わっ……!」
「おっと。ほんとあぶねえなお前」
山を降りている間に足を挫いてしまっていたのか、
それとも安心感からか転びそうになってしまったところを頼朝様に支えられる。
「由乃、足を挫いているな?」
「え……?」
玉藻にそう言われて、
やっぱり何だか痛いなと思っていた足の痛みから、
挫いているんだと実感してくる。
「……」
「頼朝様?……わっ」
玉藻の言葉を聞いて眉を寄せた頼朝様に急に横抱きにされて、
驚きのあまり硬直してしまう。
「ほら、行くぞ」
「あ、あの自分で歩けます……っ!」
「ん?」
そのまま歩いていく頼朝様に、
私は恥ずかしくて顔を真っ赤にしたまま頼朝様に抗議するも、
あまりにも綺麗な笑顔に気圧されてそのまま縮こまってしまう。