第2章 「笑顔って怖いよね」/源頼朝
こくりと玉藻に分かるように私も静かに頷いて、
両手を猫又の方へと向けて力を込めて、
呪力を奪うように狐憑きの力に願う。
「ぐっ……!小癪な真似を!」
ザッと一瞬にして玉藻の眼前まで来る猫又に玉藻っ!と名前を叫ぶが、
危険な状況にあるはずの玉藻はにやりと笑っている。
「これでも既に呪力は大半戻ってきていてな?
若造に負けるほど九尾の狐は甘くはないぞ」
ボンッと音とともに、
玉藻の右手から青い炎が猫又目掛けて飛び出していく。
もちろん至近距離だ。
速さがあったとしても、
引き返すには遅すぎた為に猫又はもろに玉藻の攻撃に当たってしまう。
その間に私は恐怖にめげずに猫又の呪力を奪うように、
意識をただそれだけに集中させていく。