第2章 「笑顔って怖いよね」/源頼朝
──鎌倉。
征夷大将軍のお膝元で、
活気的な町並がいつも以上に賑わっている今日この頃。
私はというと、
頼朝様の側仕えとして鎌倉から少し離れた土地に視察に同行していた。
その場所は最近摩訶不思議な現象に悩まされているとの事で、
もしかしたらあやかし絡みかもしれないと、
普段なら盛長さんが付いてきているところだけれど、
今回は玉藻が一緒に同行することになっていた。
「ほう……自然豊かな場所じゃないか」
「ここは村だしな。
別にそこら中に店や家が立ち並んでる訳じゃねえからな」
どこへ行っても相変わらずな玉藻を適当にあしらっている頼朝様を見つめつつ、
『神隠し』がよく起きると言われている問題の場所へと、
一歩一歩着実にその目的地へと歩いていく。