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イケメン源氏伝 《短編集》

第1章 「ねこみみ」/源義経


「由乃」
「はい」
「…頭に触れてみてくれるか?」
「ええっと……頭?」

俺の指している言葉の意図が分からないのか、
猫耳を付けた由乃は首を傾げている。

「そうだ、自分の頭に」
「?」

わけがわからないという顔をしながらも、
素直にこちらの言葉に従ってくれ、
由乃はそっと自分の頭に手を添えた。

「!??」

目をパチりと見開いて驚いた顔をしている。
どうやら気付いたみたいだ。
その瞳には驚愕と困惑の色が見え隠れしている。

「あ、あの……これは?」
「わからない。
俺が起きた時にはもうそうなっていたから」

自分もちょっと困惑している。
でも愛らしい彼女が猫耳を付けている姿は、
なんだか可愛らしくてそそられる。

「だから義経様はずっとこちらを見て、
驚いていたのですね」

どうやら先程の俺の様子がおかしいことの理由が判明したことで合点がいったらしい。

「その……どうしたらいいんでしょう?」

どうやら自分の頭に猫耳が付いていることを自覚したのか、
恥ずかしそうに顔を赤らめている。

「あなたは本当に可愛らしいな」

あわあわと顔を真っ赤にしながら困惑している由乃をそっと抱き寄せる。
そうするとまた、
彼女の顔を真っ赤になっていてその鼓動も高鳴ってきていた。

「よ、義経様……」
「しばらくはこのままがいい」

だってこんなにも可愛らしい由乃を見られるなんて、
こんなの独り占めしたくなるから。
心做しか由乃に付いている猫耳まで垂れ下がったように見えてしまって、
ああ……自分はこんなにもこの人に惹かれているのだとまたもや実感した。


【the end】
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