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イケメン源氏伝 《短編集》

第4章 「朝」/源頼朝


以前珍しく由乃の方が先に起きていたことがあり、
その日は驚いたものだと苦笑しながら思い出す。
いつもなら自分の腕の中で、
今のようにすやすやと寝息を立てた眠る由乃の寝顔が当たり前のようにあると思っていたために、
自分の腕の中にも部屋の中にも由乃の姿が見当たらず、
頼朝自身としても珍しく、
『何かあったのかもしれない』と焦燥感を覚えたものだ。

しかし結局は、
普通に仕事へ向かっていたようで朝の楽しみを奪われた腹いせに、
午前の仕事を終えた由乃を拉致って、
そのままお仕置きをすることにした。
朝抜け出せるということは、
昨夜以上のことをしたとしても構わないと判断して、
それはもう次の日は起きられないくらいに抱き潰した。

『由乃がいない』。
それだけで不安を覚えるようになった己に、
どれだけ惚れ込んでるんだと呆れてしまう。
けれどそれだけ由乃が自分にとって大切なものであるのだということだろう。

自分に身を寄せて眠る由乃の姿が、
可愛らしくて愛おしくて仕方ない。
こんな気持ちを抱くのは、
後にも先にもこいつくらいだろうなと、
頼朝は由乃以外には見せない優しい笑みを浮かべて、
眠る由乃の額にかかる前髪をそっと払う。
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