第4章 「朝」/源頼朝
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腕の中で眠っている由乃が少し身動ぎしたことに気付いて、
少しだけ頼朝はうっすらと瞼を開ける。
それから頼朝よりも早くに起きたと思っていた由乃は、
褥から抜け出そうか、
このままでいようかと悩んでいるところだった。
そんな姿にも少し可笑しさを覚えつつも頼朝は寝たフリを続行する。
それからしばらくして、
由乃が自分の身体に身を寄せ、
そのまま眠り始めたことが分かった
頼朝は寝たフリをするために閉じていた瞳を開き、
少しだけ目線を下ろせば、
そこにはすやすやと安心しきった顔で眠る由乃の姿があった。
「(呑気な寝顔……)」
朝の寒さからなのか、
単純に頼朝の温もりを求めて身を寄せる由乃の姿に愛らしさを覚えながら、
頼朝はフッと笑みをこぼす。
あの日のように勝手に褥から抜け出されても困るので、
そのまま今度こそ逃げ出せないようにそっと強く抱きしめ直す。