第4章 「朝」/源頼朝
その日も珍しく頼朝様よりも先に起きた私は、
気分転換がてら、
朝の散歩をするために頼朝様の眠る褥から抜け出して、
御所を歩き回ったあと、
家臣の人達が起き上がってきた頃にそのまま仕事へ行ったことがあった。
昼間頃になって、
一通り午前の仕事を終えた私が御所の廊下を歩いていると、
偶然にも向かい側から頼朝様がこちらに歩いてきていて、
私のすぐ近くに歩み寄ったかと思うと、
『勝手に褥から抜け出してそのまま仕事へ向かうなんて、
由乃は悪い子だね?』
完璧な猫かぶりのまま、
ニコニコと威圧的な笑みを私に向けられた頼朝様は、
そのまま何故怒られているのか分からず呆然としていた私を横抱きにして、
頼朝様の部屋へと連れ戻されてしまった。
それからは頼朝様からのお仕置きをされたことを鮮明に思い出してしまって、
私はあの日のように頼朝様を不機嫌にさせるのはいけないと思って、
抜け出さずにそのまま頼朝様の身体に身を寄せてもう一度眠ることにした。