第4章 「朝」/源頼朝
瞼の裏に暖かい太陽の陽射しを感じて、
私はそっと目を開ける。
もうすっかり朝になっていた。
「(朝……?)」
明るくなった部屋が見えてぼんやりとした意識の中、
ふと自分の少し上にある頼朝様の寝顔が目に映った。
まだ寝てらっしゃるなんて珍しい。
いつもは私よりも先に起きて、
楽しそうに寝顔を見つめていらっしゃるのに。
珍しいなと思いつつも、
そろそろ起き上がった方が良いかもしれないと、
私は上半身を起こそうと思った。
けれど頼朝様の逞しい腕に囲われている以上、
起き上がるためにはその腕から抜け出すしかない。
でも頼朝様は気配や動きに敏感だから、
抜け出そうとする動きだけで起きてしまうかもしれない。
せっかくゆっくり眠ってくださっているのに、
起こしてしまうのは申し訳ない。
このまま身を委ねていれば良いのかな?
やっぱり起き上がって身支度を整えてしまおうか?と、
二つの選択肢でずっと悩んでいるとある日のことを思い出す。