第3章 「巡り巡った愛の先」/玉藻 《現パロ》
──ちゅんちゅんという小鳥の鳴き声が聞こえて私は目が覚めた。
「起きたか?」
「玉藻……」
どうやら玉藻が意識を失った私を用意してくれていた部屋へと抱えていってくれたようで。
私は自分が用意していた布団に横になっていた。
「どうやら思い出してくれたようだな」
嬉しそうに微笑む玉藻の顔を見て、
私はハッと寝起きで働いていなかった脳が目覚めるのを感じた。
「玉藻……その、ごめんなさい。
私からまた逢おうって約束したのに……」
「何、無理矢理ではあるが思い出してくれただけでも嬉しいのだから、
怒ってなどいないさ」
『怒っているのかもしれない』そう思ったんだろう?
と玉藻の視線が私に訴えていた。
ああ……やっぱり敵わないや。
どこまでも見通してくれるその姿はあの頃と全く変わってない。
「それに謝らなければいけないのは俺の方だしな」
「え……?」
予想外の言葉に私は思わず声を出してしまった。
そんな私を見て玉藻はそっと目を細めて
「お前をここに迷い込ませたのは俺だからな」
「………ええっ!?」
ニヤリと微笑む玉藻のその表情が、
全て真実だと告げていて私は驚くしかなかった。
「縁側でまったりと茶菓子を頬張っていたら、
お前の魂の匂いを感じてな。
近くに来ているのだと知ってここまで誘導したんだ」
にっこりと微笑む玉藻の顔に、
罪悪感など微塵もないのだと悟る。
でもそんな行動をしてくれたお陰で、
私は思い出さなくてはいけないことをこうして思い出すことができた。
だから───
「玉藻」
「ん?」
「ありがとう」
きっと今までした事の無い満面の笑みを私は今ここで、
浮かべることが出来ただろう。
笑った私の顔を見て玉藻も笑ってくれているから。