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イケメン源氏伝 《短編集》

第3章 「巡り巡った愛の先」/玉藻 《現パロ》


深く深く落ちていく感覚。
重力など感じずただ落ちていくのみ。
底のない場所に自分が来てしまったようで、
地に足をつけることができないこの浮遊感にただただ恐怖を覚える。

周りを見回しても何もない。
なんの明かりもない真っ暗な場所。

「(ここは一体……!?)」

ただ落ちるこの感覚に、
抗う術もなくただ委ねるしかないこの状況に焦燥感を掻き立たされて……。

いくらか落ちたと思ったら足元に眩い光が見えてきた。
何がなんだか分からないまま私は光に呑まれた──。

そうして見たものは。
田舎町から薬師を目指していた『私』が、
鎌倉へと向かう途中傷付いた小狐を見つけ、
その小狐を守りながら反乱軍と幕府軍の双方の戦いに巻き込まれてしまった
──『私のいつかの記憶』。

その小狐は《九尾の狐》と呼ばれた大妖怪であり、
その名前を[玉藻]という。

そんな彼と共に義経様へ対抗するための手段として幕府へと連れていかれた私は、
そんな玉藻に振り回されながら、
日々を過ごし彼のことを知り、
仲間になりたいと願い、
傷付いた彼を救うためその魂に触れ、恋をした。

あやかしである玉藻と、
人間であった『私』は、
寿命の差には抗うことができなくて、
《またいつか逢おう》という約束の元
──離れ離れになってしまった。

「ああ……そうだ。そうだった。
どうして忘れてたんだろう、玉藻のことを。
自分から約束しておいて忘れちゃってたなんて……」

玉藻に怒られるだろうか。
そんな不安と共に私の意識はまた失ってしまった──。
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