第3章 「巡り巡った愛の先」/玉藻 《現パロ》
「おや、珍しい。こんな所に人が来るなんてな」
きょろょろと辺りを見回していると、
御屋敷の中から、
長い銀髪に金色の瞳をした男性が少し驚いたような顔をして出てきていた。
「あ、あの……すみません!
勝手にお邪魔するつもりではなく……」
「構わないさ。
このような所まで来てしまったということは迷ってしまったのだろう?」
優しげに微笑む男性は、
私が何故ここに来たのかを知っているようだった。
「さあ、こちらにおいで。もうすぐ日が暮れ始める。」
そう言われて空を見上げると、
先程までは太陽が真ん中にあったはずなのに、
いつの間にか降りていくところだった。
「夜の山は何が起こるか分からない。
身の安全のためにもここに泊まるといい」
「あ、ありがとうございます……!」
確かに、暗くなった山奥では明かりなどない。
それでは元いた町へと帰ることは困難だ。
だけど迷惑ではないかと思いつつも、
おいでと手で招いてくれているので、
少し躊躇いがちにゆっくりとその屋敷の中へと足を進めていった。