第14章 山姥切国広 私の純情愛刀・:*+.
その後、私は順調に仕事を終えて、夕暮れどきに迎えに来てくれたまんば君と居間へ向かう。
「あっという間の五年だったな。」
「うん…。最初はまんば君と二人だったのにいつしかこんなに仲間が増えたね。まんば君と皆に助けてもらいっぱなしの五年だった。」
私がまんば君の指に遠慮がちに触れると、少し照れくさそうに笑いながら、ぎゅっと手を握ってくれる。
「…最初は本当に大変だったな。俺は弱くて、いろはに迷惑ばかりかけた。」
「ううん。まんば君は私のためにすごく頑張ってくれた。今ではもうこの本丸の事も部隊長も全部任せるぐらい頼りにしてる。」
「任せられるのは有難いな。俺はまだまだ強くなる…いろはの為に」
顔を赤らめ小声で呟くまんば君が愛しくてぎゅっと強く手を握る。
「ありがとう。いつだったかな…私が風邪で寝込んだ時、雑炊を作ってくれたよね?」
「鍋は焦げて味は最悪だったけどな。あの時は必死だった。」
「ふふ。私の熱が下がるまで一晩中看病してくれたよね。嬉しかったなぁ…」
「庭で花火をしたこと、覚えているか?」
「うん!まんば君の線香花火がすぐに落ちちゃって何回もやり直したよね。」
「あぁ…楽しかった。」
居間に向かう途中、私たちは思い出を繋ぎ合わせるように、言葉を交わして笑い合う。
「いろはは審神者として日々成長している。」
「本当に?私を一番近くで見てきたまんば君にそう言ってもらえると嬉しい」
「いつも一生懸命で優しくて…俺たちの事を考えてくれる。
…俺はあんたの刀剣で…愛刀で幸せだ。」
柔らかい表情で微笑むまんば君の優しい言葉に瞳が潤んで、気を抜くと零れ落ちそうになる。
「まんば君…本当にありがとう。これからも宜しくね?」
「あぁ。末長くな…。」
居間に着くと皆が笑顔で私を迎えてくれた。
「主!就任五周年おめでとう!!」