第14章 山姥切国広 私の純情愛刀・:*+.
「っ…これは!?…あっ…!」
俺は中に入っていた数枚の絵画や冊子に驚愕し、動揺から思わず床にばら撒けてしまった。
まさかっ!…春画!?
鶴丸はこんな物をどこで手に入れたんだ!?
いや…この際、それは置いておこう…。
それにしてもこれは…あまりに過激すぎないか!?
春画や好色本には女性を悦ばせる技術について、絵も交えながら事細かに書かれていた。
「こんな事までするのか!?」
「む…無理だ…。こんな事俺には到底できない…」
あまりに刺激的な内容に、俺はくらくらする頭を抱える。
愛しいいろはの顔を思い浮かべると、身体が熱くなり、自分の欲望が疼くのを感じて背徳感に苛まれる。
「すっ…すぐに返そう!」
「うっ…。何をしてるんだ…俺は…」
床にばら撒かれた春画を拾い集め、一度は風呂敷に仕舞うが、どうしても気になって再度開いてしまう。
「いろは…」
とっさに脳裏に浮かんだのは、先ほど三日月に触れられて、頬を染めていたいろはの顔。
俺だっていろはにもっと触れたい。
いろはの愛刀は俺なのに…どうして他の刀剣がいろはに触れるんだ。
初めて芽生えた嫉妬と独占欲で、苛立つ感情を隠せなくなる。
…ただどうすれば良いのか分からない。
傷つきたくない。
嫌われたくない。
…でも前に進みたい。
もっと愛し愛されたい。
いろはの為にも変わりたい。
俺は自分を鼓舞し、密かに熱い決意を心に灯した。