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*・*刀剣男士と花咲く恋*・*【刀剣乱舞】

第14章 山姥切国広 私の純情愛刀・:*+.


一方、いろはの部屋を出て、自室に戻った山姥切は扉を閉めた途端にしゃがみ込む。

「はぁ…情けない…。」
自分の不甲斐なさで心が押し潰されそうになる。

俺はいろはが好きだ。
こんな俺を信じてくれて、頼ってくれて、愛してくれる。
自分の事が嫌いな俺が、いろはに愛されてから、少しだけ自分に自信を持てるようになってきた。
いろはの愛刀になれた事がどれだけ俺にとって生きる糧になっているかは、言うに及ばない。

なのに…いろはを目の前にすると緊張と戸惑いで身体が動かなくなる。
触れたいのに、どう触れていいのか分からない。

「このままじゃ…だめだ」
そう呟いた瞬間、鶴丸に部屋の前から呼びかけられた。

「山姥切いるかー?燭台切と万屋へ買い出しに行くんだが、付き合ってくれないか?」
「…あぁ。今行く」
俺はなんとか重い腰を上げて、鶴丸に続いた。


買い出しを終えて万屋から戻ると、縁側で楽しそうに話すいろはと三日月の姿が目に入った。

「ふむ。さすがいろはだな。感心感心…。褒めてやらねばな?」
「もぅ三日月さん…からかわないでください」
三日月はいろはに顔を近づけ、頬を優しく撫でる。

「っ!」
その三日月の色っぽい仕草と頬を染めるいろはに、動揺し胸がずきっと痛む。


「何をぼーっと見てるんだ?あぁ…三日月といろはか。」
「別に…気にならない。」
不意に聞こえた鶴丸の声に反射的に答え、俺はその場から逃げるように足速に自室へと向かう。

「まぁ…まだ日は浅いが、お前たちが恋仲なのは周知の事実だしな!毎晩お熱いんだろ?」
後に続く鶴丸のからかうような笑顔に俺はとっさに俯く。

「…そんなことは…ない。」
「おーい。山姥切…あんまり堅物だと、他の奴らにいろはを取られてしまうぜ?」
「っ!…なんでそうなる?」
「三条の爺さんたちは特別いろはを可愛がってるからなぁ。それに爺さんたちはそっちの経験も豊富だぜ?」
「そっち?…とは何のことかよく分からない」

「まぁまぁ。ちょっと待ってろ」
鶴丸は自室の前で足を止め、中に入り何かを抱えて出てきた。

「お待たせ!これは俺からの餞別だ。二人が上手くいくことを願ってるぜ!」

俺は手渡された風呂敷を、自室に持ち帰り、嫌な予感がしながらも開いてみる。
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