第11章 歌仙兼定vs大倶利伽羅 白と黒の誘惑・:*+.
「っ!…すいません…」
いろはは顔を赤らめながら、また一口ぱくりとケーキを口に運ぶ。
「いろはは見ていて本当に飽きないね。ころころ変わる表情が豊かで…」
僕はいろはの頬に手を当てゆっくりと、正面を向かせる。
「…本当に愛しい。」
「っ!」
彼女の揺れる瞳にぐっと近づき、優しく口付けた。
「いろは…甘いね」
「っ!歌仙…さん?…あっ…んんっ!」
僅かに開いた隙間から、舌先をするっと挿れて口内を刺激し、いろはの舌をねっとり絡めとり甘いケーキの余韻を堪能する。
「はぁはぁ…どうし…て?」
甘い刺激に抗えず、苦しそうに蕩けた瞳で見つめるいろはに、僕の身体の熱が上昇し疼き始める。
「いろはが好きだよ…ずっと。どんなに他の刀剣に目移りしたとしても、最後にいろはが選ぶのは僕だろ?」
「っ!歌仙さ…ん…私っ」
言葉を奪い、呼吸さえも奪うように何度も激しく口付け、いろはの潤んだ瞳には独占欲に塗れた自分が映し出される。
「っ…苦しっ…やっ…はぁはぁ…」
力なく僕を押し返すいろはの唇を解放して、優しく頬を撫でる。
「私は…あのっ…少し…時間が欲しいです。」
「大丈夫だよ。いつまでも待ってる。」
荒い呼吸から絞り出すような声で、僕を窺ういろはを柔らかい瞳で見つめ返す。
「少し急ぎすぎてしまったかな…」
こくりと頷き、動揺を隠しきれず足早に立ち去るいろはの背中を見送りながら、心の中でそっと呟いた。