第10章 御手杵 ハロウィンの戯れ・:*+.
南瓜やお化けの飾り付け。
仮装の衣装を作るミシンの音。
台所からはお菓子を焼く甘い香り。
そう。我が本丸ではハロウィンに向けて準備中だ。
私の本丸では季節のイベントを盛大に祝う。
「顕現した刀剣にも、人間と同じように楽しい思い出を作って欲しい」
そんな思いから初期刀の清光と始めた大切な恒例行事だ。
今回のハロウィンはお洒落が大好きな清光と乱ちゃん、お菓子作りが得意な燭台切さんと歌仙さんが中心になって準備に励んでくれている。
「いろはヘロウィンってなんだ?」
「ふふ。ハロウィンですよ?御手杵さん」
顕現して初めてのハロウィンを迎える御手杵さんと骨喰さんは興味津々で飾り付けを手伝ってくれている。
「ハロウィンは西洋のお盆みたいなものですね。この本丸でも毎年仮装して、お菓子を配って、宴を開くんです。」
「なるほどなー。今朝、俺のとこにも加州が衣装を持ってきたぞ。西洋の警察官ってやつらしい…」
「御手杵さんは警察官の衣装なんですね!きっとすごく似合うと思います」
長身の御手杵さんを見ながら、仮装姿を想像する。
うん…絶対かっこいい♡
一人で妄想しながら、両手を頬に当て顔を赤らめる。
「俺は吸血鬼らしい…。信濃が持っていた本で調べたら、人の血を飲んで永遠に生き続ける伝説の生き物と書いてあった。」
「血を…飲む⁈…蚊の一種なのか?」
「御手杵…蚊と一緒にするな。」
ほんとこの二振りは仲良しだなぁ。
骨喰さんとの会話があまりにも可愛くて、くすくすと笑みが溢れてしまう。
「主!今年の主の衣装がついに完成したよ!」
その時、勢いよく駆け寄ってきた清光と乱ちゃんがぎゅっと私を抱きしめた。
「わぁ〜!清光、乱ちゃん毎年ありがとう!二人が作ってくれる衣装は本当に可愛いんだよね」
「今年は魔女さんだよ!あるじさんに絶対似合うよ!」
「主ちょっと着てみなよ?俺たちの最高傑作だからさっ!」
興奮気味の清光と乱ちゃんに急かされて、自室で試着するためにその場を後にした。