第9章 燭台切光忠 甘いお仕置き・:*+.
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「疲れたぁ〜…」
豊前江さんと裏山から帰ってきた私は自室に倒れ込む。
「でも栗たくさん拾えたから、みっちゃんに栗きんとんを作ってもらおうかな?…あっ!私今ダイエット中なんだった…はぁぁ。」
「主。入るよ?」
そんな事を考えていたら、急にドアが開かれ、歌仙さんが顔を覗かせる。
「歌仙さん?どうしました?」
「燭台切が僕に料理当番を代わって欲しいと言ってきたのだけど…君たち何かあったのかい?」
「えっ?みっちゃんが?」
「君が彼の料理を食べなくなったって落ち込んでいたよ?」
私は落ち込んでいるみっちゃんの姿を思い浮かべて、罪悪感に苛まれる。
「ちっ…違うんです!私、今ダイエットしてて…」
「は?ダイエット?」
「最近みっちゃんの美味しいご飯を食べ過ぎて…ちょっと太っちゃって…」
「はぁ…君って子はまったく…。その細い身体のどこに肉がついているんだい?ここかい?」
歌仙さんは呆れながら、私のお腹を両手でぎゅっと摘む。
「ひゃっ!歌仙さんくすぐったいです!」
「…いろはちゃん、入るよ?」
その時、お茶を手にしたみっちゃんがガラッとドアを開ける。
「っ!」
私たち二人の姿を見たみっちゃんは一瞬固まり、すぐに目を逸らす。
「お邪魔しちゃったかな?」
「まっ…待って!みっちゃん!」
困ったように笑い、足速に立ち去るみっちゃんを夢中で追いかける。
「みっちゃん!ねぇ!話を聞いて?」
みっちゃんは止まってくれず、食品収納庫に入りお盆を片付ける。
「みっちゃん…?さっきのは何も…何もないからね!誤解しないでね?」
私はみっちゃんの腕を引っ張りながら、必死に伝える。
どんっ!
次の瞬間、私は壁際に追い詰められ左右の腕の中に閉じ込められる。
「僕には…触れられるのも拒むのに、歌仙くんや豊前江くんならいいのかい?」
今まで見たことのない激越な視線で見つめられて、私は緊張と不安で上手く声がでなくなる。
「本当に…違うの…!ねぇみっちゃん?」
「僕といると気まずそうだし、料理も食べてくれないし…もう僕に飽きちゃったのかな?
っ…こんな僕…カッコ悪いね?…ごめん。」
切なげに笑うみっちゃんを見ていると、罪悪感で涙が溢れ、ぽろぽろと流れ落ちる。