第9章 燭台切光忠 甘いお仕置き・:*+.
食卓にずらっと並ぶのは、みっちゃんが一生懸命作ってくれた料理。
本当に全部美味しそうなのに…なぜか今日は色んなことが気になってお箸が進まない。
「いろはちゃん?具合でも悪い?」
「ううん。でもちょっと今日は疲れちゃったみたい。せっかく作ってくれたのにごめんね?まだ仕事があるから部屋に戻るね。」
優しく心配してくれるみっちゃんに申し訳なくなって食堂から足速に立ち去る。
そんないろはの姿を不安そうに見つめる燭台切。
部屋に戻り書類を広げるけど、内容が全然入ってこない。
「いろはちゃん。ちょっといいかな?」
みっちゃんの優しい声が聞こえる。
「う…うん。どうぞ」
「体調は大丈夫?熱はないかな?」
みっちゃんは自分のおでこと私のおでこをコツンと合わせた。
「だっ…大丈夫だよ。でも今日は早めに寝ようかな。」
私は顔を赤らめながら動揺してしまう。
「ちょっと心配だから、僕が一晩中側についてるよ?」
一晩中⁈ってことはそういう意味だよね?
勝手に心臓がバクバク音をたてる。
「今日は…ちょっと…あの…」
言葉に困っていると、両手で頬を優しく包んでぐっと瞳を覗きこまれる。
「今日は僕を見つめてくれないね…」
ほのかに熱っぽい視線に射抜かれて身動きが取れない。
「何か僕に言えないことでもあるのかな?」
「っ…何もないよ?」
必死に心を隠して見つめ直す。
「主ちょっといいか?」
その時ドアの前から私を呼ぶ声が聞こえて、みっちゃんが切なく笑いながら私から離れた。
「…今日はゆっくりおやすみ?」
耳元でそう囁き部屋から立ち去っていく。
私はその背中を複雑な気持ちで見つめることしか出来なかった。