第7章 御手杵 ピュアな彼の秘めた欲望・:*+.
「御手杵さん…おはようございます。」
「あぁ。おはよう。よく寝れなかったのか?」
「ちょっといろいろ考えてたら、あまり眠れなくて…」
「忙しかったんだな。あんま無理すんなよ?」
いつもと同じ御手杵さん。
優しい御手杵さん。
でも私はなぜか物足りない気持ちで、食堂を後にした。
「ひゃっ!」
気晴らしに庭を散歩しようと歩いていると、目の前に白い何かが舞い降りた。
「わっ!っはははは。驚いたか?あぁいやいや、すまん、すまん。」
「っ鶴丸さん!びっくりしました!」
「まぁまぁ。そんなに怒るな。きみが暗い顔をしていたからな。少し驚かせたんだ」
そう言いながら、私の頬を両手で引っ張る。
「っ〜!痛いです〜!」
「ほーら。何を悩んでいるのかは知らないが、きみを笑顔にするためだったら俺はなんでもするぜ?」
「鶴丸さん…気遣ってくださってありがとうございます。」
「いいねぇ。笑顔になった。きみは笑顔が一番かわいいからな。」
「ふふ。からかわないでください。」
そんな2人の楽しそうな姿を通りかかった御手杵と骨喰が見ていた。
「おい御手杵…行かなくていいのか?」
「んー?まぁ他の刀剣とも仲良くするのはいい事だしな。」
「だが、お前は主の愛刀だろ?」
「…俺ばっかり…。…情けないな。」
「え?」
御手杵は苦笑しながら小さな声で心の内を呟いた。
その後、御手杵は審神者部屋を訪れた。
「御手杵さん!今この仕事を終わらせるので待っていてくださいね?」
急な訪問に驚きつつ、嬉しさが隠しきれない。
「なぁ…鶴丸の方があんたを幸せにできるんじゃないか?」
急に呟かれた言葉に耳を疑う。
「え?な…なんでそんな事言うんですか?」
私は緊張と動揺で冷たくなる手を握りしめる。
「いや。鶴丸といる時のあんた楽しそうだからさ。」
「っ!…そんな…御手杵さんは私の事好きじゃないんですか?私が他の人と恋仲になっても平気なんですか?」
荒ぶる感情が溢れだして震えが止まらない。
必死に涙を堪えながらふと御手杵さんを見ると、困惑した顔で私から目を逸らす。
「俺は…」
「…もういいです!」
私は御手杵さんの言葉を聞かず部屋から飛び出した。
なんでこんな事になっちゃったんだろう…
御手杵さんはやっぱり私のこと好きじゃないんだ…
考えれば考えるほど涙が溢れてくる。