第4章 にっかり青江 ずるい彼は満月に野獣と化す・:*+.
「僕をきみ色に染めたいのかい?」
私を惑わす妖艶でずるい彼…
にっかり青江に私は痛いぐらい恋をしている。
にっかりさんは掴みどころがない。
最初に顕現した時は、そんな印象だった。
それが恋心に変わったのはいつからだろう。
彼と話すきっかけを探して、彼を目で追いかけて…
目が合うだけでドキドキして、話すたびに嬉しくなって…
はぁ…今日も早く会いたい。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「にっかりさん髪の毛に桜の花びらがついてますよ?」
そう言って髪の毛に手を伸ばす。
「おや?僕に触れたいのかい?」
「ちっ…ちがいますよ!」
いつもこんな風にからかわれて、彼の大人びた妖艶な雰囲気に呑まれる。
顔を赤らめる私とは対照的に余裕たっぷりな彼はくすくすと笑って去っていく。
この恋を進展させたいのに…。
彼にとっては私はただのからかいがいのある審神者なのかな。
ー翌日。
月に一度の審神者報告会に出席し、本丸で残りの仕事を終え、夕餉を食べるために食堂に向かった。
今日は早く仕事も片付いたし、夜に時間があるから、報告会で仲良しの審神者から借りた映画でも観ようかなぁ?
でもホラー映画を一人で観るのはちょっと怖いなぁ…。
あっ!にっかりさん一緒に観てくれたりするかな?
そんな事を考えていた矢先に意中の人を見つけた。
「にっ…にっかりさん!」
自室に入ろうとする彼の服の袖を震える指で引っ張り夢中で呼び止める。
「おや?どうしたんだい?」
整った綺麗な顔に見つめられて、緊張してうまく声が出せない。
「あっ…の。一緒に…映画を観ませんか?ちょっと怖い映画なんですけど…一人では観れなくて…」
思わず目を逸らしながら話す。
「ふふ。ずいぶんかわいらしいお誘いだね?きみ…僕に興味があるのかい?」
ぐっと顎をすくわれ、鼻がくっつきそうな距離まで近づく。