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*・*刀剣男士と花咲く恋*・*【刀剣乱舞】

第20章 明石国行 眼鏡の奥の熱い春情・:*+.


ー西暦ニニ○七年度 審神者面談個室ー

「端的に評価すると、君の本丸はあまりに月並みで何の称賛もない。」
固い表情の監査官は、眼鏡の奥の瞳を鋭く尖らせ私を見据える。

部屋には高級そうな机に鎮座する謹厳実直
な監査官とその正面に立っている私。
清光と明石さんは私の後ろでその様子を見守っている。

「階級は"葉月"。昨年とさほど変わらない評価とは…一年間いったい何をしていた?」
無遠慮に浴びせられる監査官の冷たい言葉に部屋の温度が一気に下がる。

各本丸は十二の階級に分けられる。
和風月名を使用した階級で下は師走、上は睦月だ。
睦月ほどの本丸は、何万という本丸がある中で片手で数えられる程しかないと聞く。

「そもそも効率が悪い。刀剣一振一振を育てるのにそんなに時間をかけるのは無駄だ。すぐに阿弥陀ヶ峰へ出陣させればいい。そうすれば刀剣はすぐに成長する。」
「それは…」
「たとえ折れたとしても、また顕現させれば良いだけの話だろ?物は使い捨てだ。」
「っ…!」
こちらの話には聞く耳を持たず一方的に話を進めていく監査官。
刀剣男士を冷罵された怒りで震える拳をぎゅっと握りしめる。

「審神者。物に感情移入するのはやめろ。お前はできない審神者の典型だ。」
「っ…」
「お前のような低俗な審神者が溢れているから、時間遡行軍を根底から潰すことが出来ない。」

カチャ…
後ろに控えている二振りの殺気が、さらに部屋の温度を下げていく。

「はぁ…刀剣どもの躾さえできないのか?おい、刀剣は外で待て。」
監査官は今にも抜刀しそうな二振りを睨み付け、部屋から出るように指示を出す。
振り返った私を心配そうに見つめる二振りに、精一杯の笑顔を作り、こくっと頷く。

バタン。

刀剣が外に出て扉が閉まると、監査官が立ち上がり、私に一歩ずつ近づく。

「お前がもし階級を上げたければ…便宜を図ることも可能だが…」
「便宜…ですか?」
「あぁ。階級が皐月以上になれば、本丸への支援金も増える。お前も自身の本丸を立派にしたいだろう?」
「ですが…」
「呆れるほど愚鈍だな。こういう時に"女"を利用しないでどうする?」
「…!?」
「くくっ…以前からお前の事は美味そうだと目をつけていたんだ。」
卑しい目つきで品定めされるように、頭から足の爪先まで舌舐めずりをしながら見つめられ、嫌悪感でぞくぞくと震える。
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