第19章 髭切 姫彼岸花の約束・:*+.
「彼は彼の責務を全うしたよ。僕は彼の刀剣として戦えた事を誇りに思う。」
「私も花山院さまに恥じないよう、精一杯尽力します。髭切さんと膝丸さんがこの本丸に来て良かったと思えるように…私はもっと強くなります。」
髭切さんは畳に正座をし直し、深く頭を垂れて刀を差し出す。
「いろは。花山院の意思を受け継ぎ、主となりし君に僕の全てを捧げる。
深い闇に覆われた阿鼻地獄の中でも、必ずや君に勝利を齎すとこの刀に誓う。」
「髭切さん…」
その姿があまりに優美で壮麗で、万感胸に迫る思いが溢れて瞳がじわっと滲む。
「おや。泣いちゃったの?おいで。」
顔を上げ、くすっと微笑んだ髭切さんがぐいっと私を抱き寄せて、耳元でそっと囁く。
「ねぇ、いろは。君の生涯を僕にくれない?」
「っ…!」
「これからもずっとずっと一緒にいよう。僕は君と夫婦になれたらすごく楽しいと思うんだけど…どうかな?」
「髭切さん…嬉しいです。不束者ですがよろしくお願いします。」
「ふふ。じゃあ、さっきの続きしようね。僕の可愛い奥さん♡」
髭切さんは私を抱き上げるとベッドに優しく下ろす。
「ふぇ?…あっ…!待っ…んんっ…!」
「僕、子供はたくさん欲しいなぁ。君に似た女の子だったらとっても可愛いだろうし…もちろん男の子でもすっごく嬉しいよ?」
「えっ…と…」
「ふふ。今夜もたくさん頑張ろうね?」
結局、鬼になった愛しい旦那さまに何度も何度も愛されて、朝まで眠らせてもらえませんでした♡
○●おまけ●○
「兄者!夫婦というものは、なりたくてなれるというものではなくてだな…。ちゃんと手順というものが…!あっ…兄者?」
「うーん。そんな難しい事、考えなくてもいいんじゃない?大切なのは気持ちだよ。忙しないと日々の幸せに気付けないからね。のんびりいこう。」
「兄者ぁ〜!それではだめなんだ。この際、俺が全て取り仕切る。だから、とにかく日取りを決めよう!結納品も用意しなければっ…それに…あれも必要だな…ぶつぶつ…」
「ふふ。張り切ってるねぇ。可愛い義姉ができて嬉しいんだね。早く甥姪も見せてあげなきゃなぁ。うん。今夜も頑張らないと。」
後日、膝丸さん先導のもと、結納、神前式が無事?に執り行われ、正式に夫婦となった私たち。
私たちの甘くて波乱万丈な新婚生活はまた別のお話で♡
Fin