第19章 髭切　姫彼岸花の約束･:*+.

「はぁ…髭切さ…好きっ。大好き。んっ…」
瞬刻、解放された唇から必死に空気を吸い込むと、その空気さえも飲み込まれ、また唇を塞がれる。
息苦しさから開いた僅かな口の隙間から舌が差し込まれ、歯裏や上顎を舌先でチロチロと刺激されると、身体に熱が宿り、ぞくぞくと快感が走る。

あぁ…気持ちよくて溶けちゃいそうだ…。
ねっとりと執拗に与えられる刺激で頭がくらくらする。

「いろは、舌を絡めてみて？うん。上手。」
「ふぁ…んっ…あっ…」
髭切さんの舌に自分の舌を重ねて絡めると、舌先が彼の鋭く尖った牙に触れて、ぞくぞくと興奮を誘う。

野生的に私を求める雄々しい気迫、力強い腕と鋭い牙、傷から微かに香る血の匂い。
まるで鬼のような髭切さんに、どんどん乱されていく。

「ねぇ。いろはを食べたいな。」
「っ…！あっ…んんっ」
艶っぽく囁かれ、ぞくっと脳が痺れる。
首筋、鎖骨、胸の上…至る所に強く吸い付き、赤い華を咲かせながら、隈なく舌でなぞられると、恍惚な快感に瞳が潤みだす。

「うん。これでここも…ここも僕のもの。」
「んんっ…！あっ…待っ…ひゃんっ！」
着物の襟をぐっと広げ、外気に晒された胸を柔く揉みながら、肩にがりっと牙を立てられる。
痛いっ…でもそれより何倍も気持ちいい…
身体の奥がむずむずし始めて、もどかしさが溜まっていく。

「はぁ…すっごく甘いなぁ。砂糖菓子みたいで美味しい。」
「んっ…あっ…」
胸の中心をぱくっと口に含むと、飴玉を舐めるように舌先でころころ転がし、はむはむと味わい、時よりちゅっと吸い上げる。

っ…！子猫みたい…
さっきまであんなに雄壮に刀を振るっていた髭切さんの、どこかあどけなく甘えるような姿に、愛しさがこみ上げ、キュンキュンと下腹部が反応する。

優美で、勇猛で、無邪気で…時に子猫のように愛らしく、時に鬼のように猛々しい…。
一秒ごとに違う顔を見せる髭切さんに翻弄されっぱなしだ。

ふいに金糸雀色の大きな猫目が私を捕らえる。
「あっ…」
急に恥ずかしくなって咄嗟に目を逸らした顎を掬い上げられる。

「ふふっ…ねぇ、いろははどうしてそんなに可愛いの？ちょっと意地悪したくなっちゃった。」
「えっ？やっ…あぁんっ…！」
固くなった胸の先端を片手で強く抓りながら、カリッと甘噛みされると、身体に電流が走ったようにびくんっと腰が跳ねる。