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*・*刀剣男士と花咲く恋*・*【刀剣乱舞】

第19章 髭切 姫彼岸花の約束・:*+.


「分かった。僕に任せておいてよ。」
少し不思議な雰囲気の彼は朗らかに微笑む。

「さ~て、鬼退治の時間だね!」
「あ"!?浪人の集まりをなめんなよ!」
五人の男達が抜刀し、一気に斬りかかろうとするが、彼は抜刀さえしない。

「ねぇ。もっとおおらかにゆったり過ごそうよ。」
彼が圧倒的な速さで男たちの急所に鞘を打ち込むと、瞬く間に大柄の男たちが地面に崩れ落ちていく。

「ありゃ。鞘だけで事足りちゃったなぁ。」
「うっ…くそっ!覚えてやがれ!」
「うーん…きっと忘れちゃうと思うなぁ。」

つっ…強い…!
太刀捌きが速すぎてほとんど見えなかった…!
それに軽い身のこなしがあまりに可憐で美しくて…うっとり見惚れてしまった。

「おや?大丈夫かな?」
彼の端麗な顔が間近に迫り、惚けてへたり込んでいた私は一瞬で現実に引き戻される。

「あっ…ありがとうございました…!」
「無事で良かったね。ここは人気が少ないから、表通りまで送るよ。」
彼は逞しい腕で私を起き上がらせると、着物に着いた泥を優しく払ってくれる。

「君、八幡大菩薩が夢に出て来たことはある?」
「へっ?えっと…無いです。」
「僕はね、八幡大菩薩からお告げがあって、自分の歴史と名前を巡る旅に出たんだ。それで鎌倉にたどり着いたんだよ。」

歴史?名前?
うーん…。よく分からないけど、ふわっと笑う彼につられてこちらまで笑顔になってしまう。
あぁ…この優しい声にこの甘い笑顔は反則だよ…。
ドキドキと高鳴る胸をぎゅっと押さえる。

「先ほどは本当にありがとうございました。では私はこれで…」
大通りに出たところで、彼に声をかけるが、彼は気にする様子もなく私にぐっと近づく。

「君はなんだか不思議な感じがするなぁ。ねぇ。僕たちどこかで会った事あるかな?あれれ?もしかして昨日の夢のお告げって君のことかなぁ?」
「お告げ?あの…私は…」

距離が…近いっ!!
鼻と鼻がくっつきそうなほど近くで見つめられて、心臓は跳ね上がり、頬がじわっと赤く染まっていく。

ぐぅ〜…!!
その時私のお腹が盛大に音を立てて、恥ずかしさのあまり今にも噴火しそうな顔を両手で隠す。
どうしてこんな時にっ!?穴があったら入りたいっ!!

「おや。お腹空いちゃったのかな?」
「すっ…すいません…。恥ずかしいです…」
彼はくすくすと笑いながら私の手を引き歩き出す。
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