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*・*刀剣男士と花咲く恋*・*【刀剣乱舞】

第18章 大倶利伽羅 蕩けるチョコは甘い媚薬・:*+.


伽羅が他の人に関わるなんて滅多にないのに…どうしたのかな。
複雑な気持ちが湧き上がる胸を押さえながら、二人の元へ駆け出す。

馬舎に足を踏み入れると、馬に優しく触れる伽羅と、彼に寄り添い、艶やかに微笑む美月さんが目に入る。
恋仲のような二人の距離感に胸がチクチクと痛み、その場から動けなくなる。

「…伽羅?」
とっさに出てきた言葉は、自分でも呆れるぐらいに弱々しい。

「いろはさん。大倶利伽羅さんが本丸を案内してくださって…。ふふ…大倶利伽羅さんはとても優しいのですね?」
伽羅の肩に手を置きながらくすくすと笑う美月さんの言葉は、なぜか含みがあるように聞こえてしまう。

「俺は部屋に戻る。」
「だめですよ?大倶利伽羅さんは手入れをしないと。」
「必要ない。」
「いろはさん、大倶利伽羅さんに傷があること…ご存知でした?」
美月さんが伽羅の左腕を人差し指で優しく撫でると、言い知れない感情が立ち昇る。

「えっ…伽羅…怪我してたの?」
「いや。今朝の鍛錬で少し掠っただけだ」
「私が見つけなかったら隠していたなんて…。審神者として悲しいですよね?」
美月さんは私に同意を求めるように、寂しげに伽羅を見つめる。

「っ!」
伽羅の怪我に気がつかないなんて…審神者として失格だ。
美月さんは気づいたんだ…
悔しい。情けない。…嫌だ。
私は敗北感と寂寥感に襲われて、ぎゅっと着物の袖を握る。

「伽羅…とりあえず手入れさせて?」
「いろは?」
私は美月さんの隣に並ぶ伽羅の腕を震える指で掴み、言葉を交わす事なく手入れ部屋へと向かった。

「いろは…黙っていてすまなかった。…怒っているか?」
黙々と手入れをする私の様子を気にかけ、頬を優しく撫でる伽羅。

「違う…伽羅に怒ってるわけじゃなくてっ…」
違う違う…伽羅は何も悪くない。
ただ…私が美月さんに嫉妬しているだけ。
容姿にも恵まれて審神者としても優れている彼女に、何一つ勝る部分が見つけられない。

"伽羅も美月さんのことを好きになってしまうんじゃないか…"
子供じみた情けない不安が頭を過り、自分に嫌気が差す。

「どうした?」
心配そうに私を覗き込む伽羅に、こんな感情を曝け出したくなくて、私はふいに顔を背ける。
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