第18章 大倶利伽羅 蕩けるチョコは甘い媚薬・:*+.
「いろはさんと大倶利伽羅さんは…恋仲なのですか?」
廊下を歩きながら美月がいろはに問いかける。
「えっ?あっ…はい。そうなんです。」
「へぇ…意外ですね。大倶利伽羅さんって…優艶な女性が好みなのかと…。」
「っ!…そうですよね。私も伽羅があどけない自分を選んでくれた事…今でも信じられなくて…。」
困ったように笑う素直ないろはの横顔を、美月は氷のような冷たい瞳で見つめながら審神者部屋へと足を踏み入れた。
「…以上で説明は終わりです。本丸見学の前に少し休憩しましょうか。お茶を用意してきますね。」
「分かりました。」
業務説明を終えた後、席を立ついろはを見送る美月。
扉が閉まり、一人になった美月はふと机の上の集合写真に手を伸ばす。
「はぁ…。人のものって…どうしてこんなに欲しくなっちゃうんだろう。」
その中に写る大倶利伽羅をうっとりと見つめ、指ですっと撫でる。
「ふふ…次のターゲットは彼にしようかな…。」
「いろはいるか?」
「あら…大倶利伽羅さん?どうぞ」
扉をノックする意中の相手に美月はすっと表情を変え、真っ赤な紅を引いた口元に嬌艶な弧を描く。
「いろはは不在か。」
すぐに出て行こうとする大倶利伽羅の腕を、か弱げに掴んで上目遣いでじっと見つめる美月。
「少しお話しませんか?本丸のことや大倶利伽羅さんの事…教えていただきたいんです。」
「それなら他に適任な刀剣を連れてくる。」
「ふふ…そんなに冷たくしないで。では本丸を案内して頂けませんか?学びたい事が多いので、今この時間が惜しくて…。」
すっと手を握り指を絡ませてくる美月に、動じることなく手を振り払う大倶利伽羅。
「あらあら…手厳しいですね。いろはさんが何かあれば大倶利伽羅さんに頼むようにと仰っていたのですが…」
くすくすと鈴の音のように笑い、独特な雰囲気を醸し出す美月。
「はぁ…お前をいろはのところに連れて行く。」
「ありがとうございます。」
美月が全く引く気がない事を悟った大倶利伽羅は、諦め気味に渋々首を縦に振る。
「美月さん待たせちゃったな。」
お茶を用意し、足早に部屋に向かっていた私は、庭を歩く二人の姿を見つける。
あれ?伽羅…と美月さん?