第17章 燭台切光忠 伊達男に身も心も奪われて・:*+.
「政宗公の愛刀にも力を借りよう。ここには伊達組の仲間たちがいる!」
政宗公が進むべき道の邪魔はさせない。
私たちは正しい歴史を守る!
私は政宗さまの愛刀三振りに、審神者の霊力を注ぎこむ。
「太鼓鐘貞宗。大倶利伽羅。そして…政宗さまから託されたこの脇差…牛王吉光!」
"刀ヲ守リシ付喪神ヨ。
我ニ力ヲ与エタマエ。
ココニ姿ヲ宿シ歴史ヲ守レ。"
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夜の帳がおりる。
政宗公率いる伊達軍が城下町を下っていく。
闇に蠢く時間遡行軍。
敵数およそ二十振。
「長船派の祖、光忠が一振り、参る!」
「俺は行くぞ。お前らは好きに出ればいい」
「一世一代の晴れ舞台、派手にいこうぜ!」
「白狐を斬るの?…僕に任せて」
ここに集いし伊達組の最強刀剣四振。
いざ出陣!!
先頭を進む政宗公の耳に突如呻き声が聞こえる。
「っ!なんだ!?敵襲か!?」
その声は列の至る所で響き渡り、同時に仲間たちの悲鳴も上がる。
ドンっ!!
突如、雷が落ちたかのような雷音と共に、目の前に現れた人ならざる敵。
政宗公が躊躇なく抜刀した瞬間、目の前に颯爽と大きな背中が現れる。
「っ!お前…月弎郎か!?」
「政宗さま。ここは僕たちにお任せください。貴方を必ずお守りします。」
「あぁ。お前になら任せられる。ここは頼んだっ!」
政宗公は負傷した仲間の元に走り出す。
敵は一斉に政宗公を狙いを定め、駆け出そうとするが、刀剣四振が行く手を阻む。
燭台切が鬼気迫る表情で敵に一撃を打ち込むと、横手から現れたもう一振に向き直り、次なる一手を繰り出す。
「師の前だ。かっこよく決めさせてもらうよ!」
目にも留まらぬ速さで繰り広げられる美しい乱舞に、人間達はただただ目を奪われ呼吸さえも忘れる。
「貞ちゃん!後!!」
戦闘中の太鼓鐘貞宗の背後に敵が迫り、背中から一撃が振り落とされる。
周りの人間が「やられた」と思った瞬間、太鼓鐘が消え敵の刀が空を斬る。
「卑怯なことすんなよな?派手に決めるぜ!」
刹那、太鼓鐘は敵の股を抜き、空高く飛び上がる。狙い澄ました一撃が敵を頭上から両断した。
「みっちゃん助かった!吉光大丈夫か!?」
牛王吉光は自分より遥かに大きく堅い敵と対峙する。
キィィン!!!
二振の剣がぶつかりあい、激しく火花を散らし睨み合う。