第17章 燭台切光忠 伊達男に身も心も奪われて・:*+.
ー翌朝。
「いろはちゃんおはよう。」
「んー。。みっちゃん…おはよう」
みっちゃんはまだ微睡む私を優しく抱きしめる。
「いろはちゃん本当にごめん!昨日はカッコ悪い姿を見せてごめんね…っ!」
私はみっちゃんをぎゅっと抱きしめ、ぐいっと布団の中に引き込む。
「ふふ…昨日の仕返しだよ?」
「ふっ…こんな仕返し僕にとっては幸せでしかないよ?」
「どんなみっちゃんも大好きだよ。」
「僕も…もう絶対迷わない。いろはちゃんを絶対に幸せにする」
「私もみっちゃんを幸せにするっ!」
「お前たち起きてるか?朝餉だぞ。…朝からいちゃいちゃすんなよ?」
「はっ…はい!今行きますっ!」
二人で戯れあっていると、意地悪な政宗公の声がして、慌てて居住まいを正してみっちゃんと照れ笑いをする。
朝餉の後、政宗公に鍛錬に誘われたみっちゃんは嬉しそうに道場に向かった。
私は城の掃除を手伝いながら、出立に向けて慌ただしく準備が進む様子を眺めていた。
今夜、政宗公が出陣する。
時間遡行軍も恐らくそこを狙ってくるだろう。
絶対に政宗公の歴史を守る!
私は強い決意と共にどんよりと曇る空を見上げた。
「いろはちょっと来いよ。」
政宗公は鍛錬の後、私を刀部屋へと案内してくれた。
「これは大倶利伽羅、こっちは太鼓鐘貞宗。俺の大事な愛刀だ。」
みっちゃんだけじゃない。伽羅さんや貞ちゃんも本当に政宗公に愛されていたんだな…。
私は政宗公の愛刀達を目の前にして感動に震える。
「俺はもうじき大きな戦に向かう。だから…この脇差をお前に贈りたい。」
「え?そんなっ…大切な愛刀を…」
「たとえ側にいれなくてもお前を守りたい。この刀にはその役目を安心して任せられる。聡いお前にはこの意味が分かるよな?」
私は手渡されたその刀をぎゅっと握りしめた。
その夜、私とみっちゃんは政宗公に最後の挨拶を済ませ、城の門から出立する一行を屋根の上から見守る。
ゴロゴロと唸る雷。
降り出した黒い雨。
ゴロゴロ…ドドーンっ!!
刹那、地響きのような轟音と共に、空に青い稲妻が走る。
「来たね…。数振り確認したよ。」
「うん…。燭台切光忠!審神者として貴方に時間遡行軍の討伐を命じます。」
「あぁ。せっかくの晴れ舞台だ。格好よくいこう!」