第17章 燭台切光忠 伊達男に身も心も奪われて・:*+.
「男は女を守るもんだろ?なのに傷つけるとは…何事だ?」
その殺気に怖気付いた男達を次々と昏倒させ、あっという間に勝負がついてしまった。
「おいお前。怪我はないか?まったく刀を持った男の前に飛び出すとは命知らずだな。」
地面に倒れたままの私をぐっと引き上げた男性は、着物に付いた泥を優しく払ってくれる。
「すいません…。身体が勝手に動いてしまって…」
「肘を怪我してるじゃねぇか。痛むか?」
その男性は心配そうに私の顔を覗きこむ。
その精悍な顔立ちと真っ直ぐな瞳に心臓がドキッと音を立てた。
「いえっ…。軽く擦りむいただけですので…」
「それにしてもこんなに小さいのに度胸があるな?名をなんと言う?」
「私はいろはと申します。」
「いろはか。まずは手当てを…」
「政宗さま!はぁはぁ…。また勝手に城下に行かれて!やっと見つけました」
その時、年配の男性が私たちを見つけて、息を切らして駆け寄る。
「あぁ。見つかっちまったな」
「政宗さま?」
「ん?まだ名乗ってなかったか?俺は伊達政宗。"独眼竜政宗"とも言われてるな」
「えっ!?」
「なんだ?そんなに驚いて?」
「あ…あのっ!…じゃあそのっ…!帯刀されている刀は…もしかして?」
「お前、女なのに刀に興味があるのか?こいつは俺の自慢の愛刀"燭台切光忠"だ。」
みっちゃん!!今…目の前に燭台切光忠を帯刀されている伊達政宗公が!!
感激して胸が熱くなり、瞳がじわっと潤む。
「いろは?どうした?」
「いえ…。素敵な刀だと思いまして…」
「気に入ったのか?でもこいつをお前にやる事はできねぇし…。お前には他の物を買ってやるよ。」
「え?そんなっ…!」
「髪留め…さっき壊れちまっただろ?俺に贈らせてくれないか?」
政宗公はぐっと顔を近づけ、私の解けた髪を優しく耳にかけてくれる。
「っ!」
みっちゃんがこういうドキッとする事を自然にしちゃうのは政宗公の影響だったんだ!
私は赤くなる顔を両手で隠す。
「いえ。本当にお気持ちだけ頂戴いたします。あの…私はそろそろ行かないといけません。お会いできて本当に光栄です。」
その場を立ち去ろうと踵を返すと、ぐっと政宗公に腕を掴まれる。
「おーい!誰が行かせるかよ。せめて手当てぐらいさせろ」
「えっ?本当に大丈夫ですから!…あのっ」