第16章 へし切長谷部 聖なる夜は貴方に絶対服従・:*+.
俺は一人自室に戻り、大きなため息を吐く。
全くこの本丸の刀剣達は油断ならない。
彼女が刀剣皆に愛されて可愛がられているのはよく分かっている。
でも自分だけを見ていてほしい。
自分だけを愛してほしい。
その時ふと加州と彼女の会話が頭に過ぎる。
"常に主の居場所を知りたがるし、主の行動を把握したがるし、他の刀剣と話してると嫉妬するし…"
そうだ。
俺は主を独占したい。
主さえいれば他に何も要らない。
「他の刀剣に邪魔されない…俺と主だけの時間が欲しい。」
ふと、天井を見上げて心の声を口にした時、彼女の足音が近づいてくることに気づく。
「長谷部さん、起きてますか?」
「っ!主!もちろんです」
俺は心を弾ませ、すぐに彼女を部屋へと招き入れる。
彼女は少し火照った顔をしていて、身体からは微かに三日月の香と酒の香りがする。
「少し遅くなってしまいましたね…すいません。今から寝支度をしてきますね!…っ!」
俺はとっさに部屋を出ようとする彼女を背中からぎゅっと強く抱きしめる。
「長谷部…さん?」
「主…。俺は今すぐに貴方が欲しいです」
「えっと…でも…あっ!」
俺は彼女のうなじに口付けを落とす。
早く自分の香りを彼女につけたい。
他の男の香りや楽しい時間など全て消し去りたい。
「主…愛しています。こんなに貴方を愛しているのは俺だけです」
「んっ!…あっ…っ!…んん…っ」
彼女をぐいっと振り向かせ、余裕なくその唇を奪う。
甘い吐息が混じる彼女の愛らしい声が更に俺を煽っていく。
「長谷部さ…!あっ…ん!もぅ…苦し…」
必死に弱い力で俺を押し返そうとする彼女の後髪に手を置き、さらに口内の深くまで舌を入れ甘い酒の残り香を堪能する。
「俺も主と酒を飲みたかったです」
「長谷部さん…はぁはぁ…。そんなの…いつでも…」
熱く激しい口付けで潤んだ瞳の彼女をふわっと横抱きにして、褥に沈める。
「長谷部さん…待って…」
「もしだめなら…ちゃんと命令してください」
言葉とは裏腹にもう止まることができない。
俺の欲望は疼き、彼女が欲しくてたまらない。
帯を解きながら、乱された着物から覗く滑らかで真っ白な肌に強く吸い付き、赤い華を咲かせていく。