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*・*刀剣男士と花咲く恋*・*【刀剣乱舞】

第3章 肥前忠広 ドSな彼と甘美な夜・:*+.


俺はモヤモヤする気持ちを抑えられず、拳を握ったまま自室へと向かっていた。

「おんし、なんちゃう顔しちょるんじゃ?」
途中、すれ違った陸奥守に呼び止められたが、答える気分じゃなく、足速に去ろうとすると仁王立ちで行先を妨げられる。

「ちっ…退けよ。今は話す気分じゃねーんだよ。」
「いかんいかん。そんな顔しちょると短刀たちと主が怯えるぜよ。」
ふいに主の顔が浮かんだことに、なぜか動揺し、陸奥守に詰め寄る。

「てめぇのせいで一番思い出したくねぇ奴の顔を思い出しただろーが。くそっ!」
「なんやそれ。主のことがか?なんでそないに主をきろう(嫌って)ちょる?」
「知らねーよ。あいつといるとイライラすんだよ。いきなり人の心に入り込んできて、勝手に心配して、悲しんでやがる。俺は存在意義なんて探してねーんだよ。今のままでいーんだよ…。」
「…なんや。おんし、主を好いちょるんじゃな。」
「は⁈」
「本気でどうでもえぇ相手やったら、イライラもせんき。気になるから調子狂わされて苛立っちょるんじゃろ?」
「あっ⁈意味わかんねー。勝手に言っとけ。」
陸奥守を押し除け、自室に駆け込み扉を勢いよく閉める。

なんなんだ⁈俺が主を好き⁈
はっ?
ふざけんな。

心に吐き出す言葉とは裏腹に、頭に浮かんでくるのは主の顔ばかりで、この混乱から逃げ込むように布団に潜り込んだ。


ー翌日。(審神者交流会当日)

昨日の陸奥守の言葉のせいで一睡もできずに朝を迎えた。
事前に用意されていた着物に着替えるため、誰か着付けてくれる人を探していると、ちょうど通りかかった燭台切が快く引き受けてくれた。

「今日の交流会楽しんでね?…本当は僕が主と行きたかったんだけどね」
「あっ?じゃあ替わるか?あんたが行けよ。」
「主は君と行きたいんだよ?」
温厚な燭台切の珍しく挑戦的な瞳に違和感を覚える。

「なんだよそれ。俺は…行きたくなんてない。」
「じゃあ、僕が主を誘っても良いんだよね?僕だったら彼女に悲しい顔なんて絶対させない。」
「はっ?喧嘩売ってんのか?」
「君の態度を見てると僕も苛立ってしまうよ。まるでかまってほしい子供のように、わざと主を突き放してるように見える。」
「っ!」
心を見透かされたような指摘に動揺し、かぁっと顔が赤くなる。
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