第15章 鶴丸国永 君に恍惚な驚きを…・:*+.
「えっ?これって?」
「まだ本丸が小規模の時に使っていた時空移転装置だろ?ニ振までしか飛ばせないって聞いたことがある」
「でもこんなのよく探し出しましたね?私でさえどこにあるか覚えてないのに…」
「あぁそれはだな…。君に悪戯を仕掛けようと押し入れに隠れていたときに見つけたんだ」
嬉しそうに笑う鶴丸さんに、怒る気力も失われる。
「驚かせる為だけにここまで来たんですか?それなら…」
「…会いたかったんだ」
少し呆れ気味に目を伏せた私は、鶴丸さんがぼそっと囁いた思わぬ返事に目を見開く。
「えっ?」
「いろはが俺の知らない場所で俺の知らないやつらと楽しんでるのが嫌だった。…情けないだろ?」
困ったように笑う鶴丸さんに胸がきゅっと締め付けられて、私はどうしようもなく彼をぎゅっと抱きしめた。
「私怒ってますよ?もし時空移転装置がちゃんと作動しなくて違う時代に飛ばされたらどうしてたんですか?」
「あぁ…すまない。」
そう言いながら私はさらに強く鶴丸さんを抱きしめる。
「…でもそんな風に思ってくれて、会いに来てくれた事は…嬉しいです」
「…本当か?」
「はい。私も鶴丸さんに会いたかったです」
私たちは顔を見合わせ微笑み、ちゅっと触れるだけの口付けをする。
「鶴丸さん。せっかくだからデートしましょうか?」
「デート…逢引のことか?だが交流会はいいのか?」
「はいっ!鶴丸さんと過ごしたいです。この時代には楽しい場所がたくさんあるんですよ」
「あぁ。この時代は驚きがたくさんあって楽しめそうだ!それに京都は俺と縁がある場所だからな。」
私たちは指をぎゅっと絡ませて歩き始めた。
その後、私たちは鶴丸さんに縁のある神社を参拝し、ライトアップされた祇園を散歩したり、町屋のレストランで食事したりして、冬の京都を満喫した。
「そろそろホテルを探さないといけませんね。私が用意されているホテルは他の審神者と同室だからダメだし…」
「…別々に泊まるのか?」
「一緒に泊まれる宿を探しましょう!」
少し寂しそうな鶴丸さんが可愛くて、不安を拭うようにいくつかのビジネスホテルを回る。
「うーん。週末だからか…なかなか空きがありませんね。」
「いろはここは?ここも宿じゃないのか?」
鶴丸さんは道路沿いに建っている煌びやかなお城を模したホテルを指さす。