第1章 理想のペアとハムちゃんズ
「こんにちはなのだ」
「あ、あれ?」
声が聞こえ、首をキョロキョロさせる丸井です。
「こっちなのだ。僕、ハム太郎。君は?」
くしくしと毛繕いし、ハム太郎と名乗ったオレンジと白のハムスターは丸井の名を訊ねます。
「オレは丸井。丸井ブン太だ。不思議だな。君の言葉がわかるなんて」
「それは君が僕と心を通わせる優しい人だからなのだ」
「そっかな」
ハム太郎の言葉に丸井は照れていました。
「あれ、もう1人の人はどうしたのだ? タイショーくんを助けてくれたお礼が言いたかったのに」
首を傾げながらハム太郎は丸井に質問します。
「木手か。あいつとは別行動してる」
むっとした表情で答えた丸井です。
「別行動? 良くないのだ。探すのだ」
「へ? いいよ、探さなくたって」
「だめなのだ。離れていると良くないのだ。木手くん、寂しがっているのだ」
「ぷっ、寂しがってる木手、見たことねえ」
丸井は背中を向けて体育座りしている木手の姿を想像してしまったか、吹き出してしまいます。
「……きっと寂しがってるのだ」
「オレ、あいつと心を通わせるなんて自信がねえ」
笑いながらそう言ったあと、丸井はシリアスな表情になりました。