第1章 理想のペアとハムちゃんズ
「丸井くん、いい加減にして下さい」
「お前こそ、ハムスターたちが心配じゃないのか」
「……勝手にして下さい」
「どこに行くんだよ、木手」
「さっきの場所に戻れる方法を誰かに聞いてきます」
「……オレはハムスターたちを探す」
丸井と木手は別行動するかたちとなってしまいます。別行動していたとき、丸井と木手はそれぞれ相手の顔を思い出し、気持ちをモヤモヤさせていました。
「(木手は冷たいところがあるよな。ハムスターたちも、もしかするとどこかで迷っているかもしれないというのに……)」
と、丸井は思い、
「(迷ったところからさっきの場所に戻るのが優先でしょう。丸井くんはお節介なところがあります。どこかに行ってしまったハムスターたちを探しても仕方がないでしょう……)」
と、木手は思っていたのでした。
丸井と木手がこう考えごとをしていると、丸井の前にオレンジと白のハムスター、木手の前に黄色いヘルメットをかぶった灰色と黒のハムスターが現れます。
突然のことだったため、それぞれ別行動の理想のペアと、少年たちの前にそれぞれ現れたハムスターたちは瞬きを繰り返していました。