第2章 理想のペアとトラハム兄妹
いつもは激しいトラハムくんのマラカスの音が今回は優しく響いていたため、目をパチクリさせていた理想のペアです。
「じゃあなー、理想のダブルスペア!」
「へ?」
ショーを終え、別れるときにトラハムくんが突然そう言いました。
「さっき大人の人たちが話していたのを聞いちゃった。丸井さんと木手さんって、理想のペアなんでしょう?」
と、トラハムちゃんもニコニコしています。
「大人の人たちって、高校生だか、コーチたちだかな。誰だか分かんね……」
「オレはあなたと理想のペアになった覚えはありませんが」
木手がそう言ったからか、丸井はムッとなり、
「オレだって」
と、言いましたが、木手に顔が見えないよう微笑します。
「ふふっ、それではまたいつか!」
トラハムちゃんには今の丸井の表情が見えていましたが、何も聞かず手を振りました。
「ああ、じゃあなー!」
丸井も手を振り返し、木手とトラハム兄妹を見送ります。
トラハム兄妹が帰ったあと、理想のペアは笑い合い、今日も午後のサーキットトレーニングに励むのでした。
終わり