第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「はい。どうも!」
丸井は元気良く返事をし、木手は無言で会釈します。
「丸井さん、木手さん、ごきげんよう」
「おう、ごきげんよう」
「丸井くん」
かえでに返事を返した丸井に木手はいつもより低い声で丸井の名字を呼びました。
「あ、やべ……」
木手の気持ちが伝わったか、丸井は利き手で口を隠します。
「?」
鬼が不思議そうに理想のペアの方を振り返っていましたが、再び前を向いて歩き始めます。
焦った表情をしていた理想のペアでしたが、鬼が行ったあと二人ともホッと息を吐いていました。
「あなた、気を付けなさい。鬼先輩はオレたちがハムスターと会話出来るとは思っていないのですから」
「わりぃ…、キテレツ…」
片手を頭の後ろにやり、木手に謝る丸井です。
「さてと」
「キテレツ、どこ行くんだ?」
「どこって、まず、時計を見なさい」
「時計……」
木手に言われ、丸井はリビングにあった時計を見ました。すると、針は18時を指していたのでした。
時間で丸井はようやく木手が食堂に行こうとしていることが分かり、一緒について行きました。